レプンカムイ

レプンカムイ

レプンカムイ

レプンカムイの別名

  • アトゥイコロカムイ(海を支配する神)
  • トーコロカムイ(塘路湖の神)
  • その他アイヌ文化圏各地の「シャチ」の方言で呼ばれることも

レプンカムイの御神徳

レプンカムイの伝承地

  • 北海道各地の海辺、水辺

レプンカムイの継続

  • 不明

レプンカムイの鎮座

  • 海や水辺()

レプンカムイの解説

レプンカムイ

レプンカムイ レプンカムイ

アイヌ神話の海の神・レプンカムイは美しいシャチの姿で、人々に海の幸をもたらします。

シャチの姿の神様

「レプ=沖」、「ウン=いる」、「カムイ=神」の3つの語を繋げて『沖の神』を意味するレプンカムイは、アイヌの海において最高位の存在です。
その姿はシャチであると伝えられ、またシャチそのものが神と見なされています。

「海の王者」というとクジラも候補に上がりますが、何故アイヌ文化においてはシャチが優位とされるのでしょうか?
シャチはご存知の通り獰猛で、様々な魚を容易く捕まえてしまいます。時にはクジラをも獲物とし、人間の住む浜辺へ座礁させることもありました。量も栄養も豊富なクジラ肉は、人間にとってご馳走。
そんな海の幸をもたらしてくれるシャチに人々は感謝し、憧れの念を持って称えました。

シャチの優れた漁の能力にあやかるため、シャチをモチーフとした民芸品もたくさん作られました。

レプンカムイのお祭り

アイヌ文化の世界には熊やフクロウなど動物の姿をした神がたくさんいます。それら動物神は神の国では人間の姿をしており、人間の国に来るときに動物の姿になるのだと言います。
その身体の肉や毛皮、特有の技能は人間へのお土産と考えられ、動物が死んだときにアイヌの人々は『霊送り(ホプニレ)』という儀式を行って動物神に感謝を述べつつ、魂を神の国に送り返します。

レプンカムイ(シャチ神)は食べたり一緒に暮らしたりするわけではないので、霊送りの儀式がなされることはなかったようです。

しかしクジラの霊送りの祈詞(いのりことば)ではクジラを授けてくださったレプンカムイへの感謝の言葉が読み込まれており、またシャチを守護神とする塘路湖の収穫祭では「人間のために恵んでくださった菱の実をいただきます」という祈りが捧げられます。
儀式の主役ではないものの、レプンカムイのために『イナウ(木幣/御幣のようなもの)』を立てることもありました。

レプンカムイを祭る様子は神話にも語られています。

私(レプンカムイ)は12人の兄達と12人の姉達と暮らしていました。
ある日、海へ出掛けてみると兄姉達が漁で苦労している様子が見えたので、持っていた金の弓矢を放ったところ、クジラの親子を射ることが出来ました。
1頭のクジラを半分に切って、その半分は兄姉達へ差し上げ、もう半分と1頭は人間の国のオタシュツ村の浜に上げることにしました。

それを見ていた悪い神は「人間はせっかくの贈り物を粗末に扱うでしょう」と言っていましたが、飢饉であった村人達はクジラを大いに喜び、酒と綺麗な御幣を私にくれました。
私はその美しい御幣で家を飾り、神々を招いてクジラの肉と酒で宴を催しました。

村人達はその後も酒をくれるので私と兄姉達は幸せに暮らし、また人間達も食べ物に困ることはなくなりました。

恋多き神様

レプンカムイは美しい男神と考えられることが多く、各地でレプンカムイの神話が伝わっています。
特に有名なのが、日高地方に伝わる人間との結婚譚でしょう。

ある母親が娘をあやしながら「私の娘はどの神様に嫁がせるのが良いだろう」と考えていました。
熊神は大食いすぎる、オオカミ神は足が速すぎる、龍神は音が大きいし、アイヌラックル(半神半人の英雄)は火を使うから熱いだろうし……
「そうだわ、シャチ神様が一番良いでしょう」

母親がそう言うと娘は母の手から滑り落ち、シャチ神にさらわれてしまいました。
嘆き悲しむ母の夢に大人になった娘とシャチ神が現れ、

「私はシャチ神様の妻になったのだから、安心してください。毎年あなたの元へクジラを届けます」
と言いました。

こうして襟裳岬では毎年、クジラが上がるようになったのです。

この他にもレプンカムイ(シャチ神)の妻となる話はいくつかありますが、これはレプンカムイに仕える巫女のような存在か、あるいは豊漁のための贄を表しているとも考えられそうです。

文章担当まや(元メンバー)

参考資料

  • ユーカラ

挿絵担当こなゆき(元メンバー)

参考資料

  • ユーカラ

挿絵解説

氷の海から緑の陸へ、恵みを届けるイメージで描きました。

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