八坂刀売神
やさかとめ
八坂刀売神の別名
- 八坂刀自神(やさかとじのかみ)
- 妻科神(つましなのかみ)
八坂刀売神の御神徳
八坂刀売神の伝承地
- 長野県諏訪地方
- 長野県長野市
八坂刀売神の継続
- 綿津見命(父)、天八坂彦命(父) ※父神に関しては大きくこの二説に分かれる
- 建御名方神(夫)
- 建御名方彦神別命(子)、出早雄命(子)、意岐萩命(子)など、二十二柱の御子神がいる
八坂刀売神の鎮座
八坂刀売神の解説
やさかとめ


八坂刀売神は、建御名方神の后神として諏訪大社をはじめとする全国の諏訪神社にて祀られている女神です。
古事記、日本書紀といった中央神話には登場せず、断片的な説話や民話が残るのみの謎の多い女神でもあります。
八坂刀売神とは?
八坂刀売神は、建御名方神の后神として諏訪大社をはじめとする全国の諏訪神社にて祀られている女神です。
古事記、日本書紀といった中央神話には登場せず、断片的な説話や民話が残るのみの謎の多い女神でもあります。
「八坂」は沢山の坂道や峠を現し、旅を安全に導く女神という意味がこめられています。
また「ヤサカ」は「弥栄=イヤサカ」つまり「繁栄」にも通じるとも言われています。
残された伝承
前述の通り、八坂刀売神は記紀神話には登場しない神です。
しかし、少ないながらも神話や伝承は残されています。
たとえば、長野県北安曇郡にある川会神社の社伝には、このような記述があります。
建御名方命の后は綿津見神の娘である。
太古の昔、中津国に海水が氾濫した。
そのとき建御名方とその后は治水の為に湖へと水を注ぎ、はじめて平地を得た。
また、八坂刀売神が登場する有名な伝説といえば、諏訪湖の「御神渡り」です。
氷結した水が湖面にせり上がり筋となるこの現象は、諏訪大社上社の建御名方神が、下社の八坂刀売神に会いに行く道であるといわれてい
ます。
さて、この御神渡り伝説には、併せてこのようなお話も伝えられています。
八坂刀売神が上社から下社へとお移りになられる際、上社から湯を含ませた綿を桶に入れて湖を渡りました。
そして下社に着いたとき、手にした綿を置いたところから温泉が沸きだしました。
これを「綿の湯」といい、下諏訪温泉のはじまりといわれています。
また、長野県長野市泉平にある素桜神社にはこのような伝説もあります。
むかしむかし、長野に住まう男が桜を見物に泉平へと訪れました。
男が桜の下でまどろんでいると一人の里女が現れ、桜の花について話をしました。「この桜は昔、名のある神が植えたもので神代桜と呼ばれています。
日本で一番最初の桜で、類まれな木なので素桜とも言い、ご神体は八坂刀売命という女神です」そして、里女は桜の精となって美しい舞を見せ、やがて春霞とともに消えていきました。
この伝説をもとに、観世宗家によって明治31年に謡曲「素桜」が作られました。
挿絵担当ササニシキ
参考資料
- 諏訪大社社伝
挿絵解説
建御名方神の后神ということで、淑やかな人妻の雰囲気が出ていればと思います。
また、伝わる話から抜粋し、背景は温泉のように、髪飾りや服の模様には桜のモチーフを入れました。