大山津見神

おおやまづみのかみ

大山津見神

大山津見神の別名

  • 大山祇神
  • 大山積神
  • 酒解神(さけとけのかみ)
  • 和多志大神(わたしのおおかみ)

大山津見神の御神徳

大山津見神の伝承地

  • 伊予国乎知郡御嶋(現在の愛媛県今治市)
  • 摂津国御島(現在の大阪府高槻市)

大山津見神の継続

  • 伊邪那岐命(父)
  • 伊耶那美命(母※)
  • 鹿屋野比売神(妻)
  • 天之狭土神(子)、国之狭土神(子)、天之狭霧神(子)、国之狭霧神(子)、天之闇戸神(子)、国之闇戸神(子)、大戸惑子神(子)・大戸惑女神(子)、足名椎命(子)、神大市比売命(子)、木花知流比売命(子)、石長比売命(子)、木花之佐久夜毘売命(子)
  • (※)『日本書紀』巻一第五段では、伊耶那美命から生まれず、伊邪那岐命が火之迦具土神を斬った際に生まれたとされています

大山津見神の鎮座

大山津見神の解説

おおやまづみのかみ

大山津見神 大山津見神

大山津見神という名前は「偉大なる山の神」という意味を持ち、山の神として各地にお祭りされています。
そのほか、海の神、軍神、鉱山、農業に関わる神様など、その御神徳は多岐にわたります。

記紀神話での記述

古事記によると、大山津見神は伊邪那岐命・伊耶那美命による神生みにおいて十三番目に生まれました。日本書紀には、伊邪那岐命が火之迦具土神を切り殺した際に生まれた神であるとも記されています(巻一第五段一書第七、第八)。
神生みで生まれたあとは、妹の鹿屋野比売神と八柱の神(天之狭土神・国之狭土神、天之狭霧神・国之狭霧神、天之闇戸神・国之闇戸神、大戸惑子神・大戸惑女神)を設けるほか、八岐大蛇の段に登場する足名椎命、天孫邇邇芸命に見初められる木花之佐久夜毘売命など、多くの子を持つ「父親」としての側面が描かれています。
また、娘たちがしばしば高天原から降りてきた神と婚姻関係を結び、自然や豊穣にまつわる神々を孫に持つことになります。

天孫の寿命を縮めた誓約

このように「父親」としての性格が垣間見える大山津見神ですが、その父親の心が災いしたのでしょうか、天孫の寿命が短くなった原因の一端となってしまいます。その場面が天照大御神の孫である邇邇芸命と木花之佐久夜毘売命の結婚です。

ある日、笠沙の御崎を歩いていた邇邇芸命は木花之佐久夜毘売命と出会い、求婚をします。一目惚れでした。大山津見神はこの求婚をたいそう喜び、たくさんの贈り物と、木花之佐久夜毘売命の姉である石長比売命を添えて嫁がせることにしました。それというのも、「石長比売を娶れば、天津神の子の命は岩のように不変のものとなるだろう、木花之佐久夜毘を娶れば花が咲き栄えるように繁栄するだろう」という意図があったからでした。
ところが何も知らない邇邇芸命は姉の石長比売を見るなり、その容姿を理由に父親の元に送り返してしまいました。そのため、天皇の寿命は花のように儚い命となってしまったのです。

伊予国風土記での記述

ところで、古事記には子の足名椎命は出雲(現在の島根県)に、木花之佐久夜毘売命は笠沙(現在の鹿児島県)で登場していますが、大山津見神は一体どこにいたのでしょうか。『釈日本紀』に引用された、伊予国風土記逸文の一節に、大山津見神に関する記述が残っています。

「伊予国の風土記に曰ふ。乎知の郡。御嶋。坐す神の御名は大山積神、またの名は和多志大神なり。是の神は、難波高津に御宇しめしし天皇の御世に顕れましき。此神、百済国より度り来まして、津国の御嶋に坐しき。云々。御嶋と謂ふは、津国の御嶋の名なり。」
(現代語訳)伊予国風土記に記すこと。乎知の郡。御嶋。この御嶋に鎮座しておられるの神の御名は大山積神、またの名は和多志の大神である。この神は難波の高津の宮で天下を治められた天皇(仁徳天皇のこと)の御代に姿を現された。この神は、百済の国から渡来され摂津の国の御嶋に鎮座されたのである。云々。御嶋といっているのは、もとは摂津の国の御嶋の名である。

この逸文によれば、もともと大山津見神は百済から摂津の国の御嶋へわたり、それから伊予の国の三嶋に鎮座したということになります。
伊予の国乎知の郡御嶋とは、現在の愛媛県今治市大三島のことをさし、現在は大山祇神社があります。この神社は全国に散らばる山祇神社(大山祇神社)の総本山として知られています。
摂津の国の御嶋は、現在の大阪府高槻市のあたりをさしているとされ、今も三島鴨神社の本殿でお祭りされています。三嶋鴨神社は「最古の三嶋神社」であるとされています。
ちなみに現在三嶋神社の総本山となっているのは、三嶋大社(静岡県三島市大宮町)です。

多岐にわたるご神徳

大山津見神は多岐にわたるご神徳があります。代表的なご神徳をあげてみます。

・海の神
先ほど紹介した伊予の国風土記では、大山津見神の別名を和多志大神としています。この名前の解釈は、「わた」=「海」、「し」=「司」とされ、海の神としても信仰があることがわかります。全国にある大山祇神社の総本山である大山祇神社(愛媛県今治市大三島)は海に囲まれており、やはり海の神さまとしての性格が強いようです。
また、瀬戸内海は海の交通の要所であったことから、「わたし」=「渡し(=航海)」の神とする解釈もあります。

・軍神
大山祇神社(愛媛県今治市大三島)や三嶋大社(静岡県三島市大宮町)など、武将からの信仰が厚く、軍神として崇められた歴史があります。

・鉱業、林業や農産業の神など
一口に山と言っても、森林もあれば鉱山も火山もあり、その恵みは実に様々です。大山津見神はそれらすべてを総括する神さまなので、山にかかわる諸産業の神として各地で広くお祭りされています。

・酒造の神
梅宮神社(京都府京都市右京区梅津)では、祭神の「酒解神」を大山津見神としてお祭りしています。

このように、大山津見神は、各地でその土地土地にあった形でお祭りされている神様といえます。国土のうち七割が山地といわれる日本では、山の神はより身近であったのかもしれません。

文章担当笑万

参考資料

  • 古事記
  • 日本書紀
  • 釈日本紀
  • 延喜式

挿絵担当あんみつ

参考資料

  • 古事記
  • 日本書紀

挿絵解説

その名の通り山の神であることから、優しくも泰然としたイメージで描きました。
山らしい緑の配色に、鉱業の神でもあることから鉱石を飾りとしました。また、酒蔵の神ということでお酒も嗜んでもらいました。

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