民間信仰

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愛宕権現

愛宕権現

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【別名】
愛宕太郎坊権現、太郎坊

【ご神徳】
不明

【伝承地】
京都府、三重県など全国各地に点在

【継続】
不明

【鎮座】
愛宕神社(京都市左京区/東京都港区)ほか

【解説】

「天狗」にまつわる共通知識/日本に残る最古の「天狗」記述

日本書紀には次のような記述が残されています。

大きな星が東から西へ流れた。音がして、雷のような音が聞こえた。「流星の音」や「地雷*1の音」などということを人々は口々に言ったが、そこに居た僧はこう告げた。
――「流星ではない。あれは天狗だ」と。

そもそも中国由来といわれている天狗ですが、この僧が日本に残る最古の天狗の言及と言われています。
中国でも天狗とは共通項として以下の三つで構成されています。

1.天から降ってくる
2.音を発する
3.災厄を招く

また、占星術的には戦災の予兆であるともいわれています。
僧はテクノクラート*2として中国からやってきて帰化した人間といわれ、占星術や中国思想の知識を相当に持っていると思われています。そのため、僧はその時点で中国でいうところの「天狗」という単語を持ち出したと考えられ、これが日本天狗のはじまりといわれています。
余談ですが、飛鳥時代の日本書紀に登場した天狗は中国の天狗観のまま定着することは無く、書物では平安時代中期まで登場しません。天狗が再登場する際は、今日にみられるような妖怪として知られるようになります。

名前の由来

愛宕権現はその名前の由来を「愛宕山」からとっています。
そもそも愛宕権現自体が、愛宕山の山岳信仰と修験道からなるものといわれており、その中に天狗信仰が混在しているということになります。
また、愛宕権現の別名とも知られる「愛宕太郎坊権現」、略して「太郎坊」は全国各地にみられるが、「愛宕山に居る天狗」=太郎坊としてその名前が与えられています。
では、なぜ太郎坊という名前なのでしょうか?
それは日本の天狗第一号であるから、という説があります。日本第一の大天狗=太郎坊ということになります。ちなみに現代では、「太郎」には長男を示す意味があります。

太郎坊と猿田彦神

また、天狗(太郎坊)と猿田彦神は同一視しているケースも見られます。
記紀によれば猿田彦神の容姿は「鼻の長さが七咫、背の長さが七尺」と記されています。(なお、ここで「一咫」とは中国での考えと日本上代の考え方で異なる。前者では約十八センチであるといわれているのに対し、後者では開いた手の親指の先から中指の先までの長さといわれている。)このことから容姿が天狗に似ており、天狗と同一視する考えもあります。
なお、実際に東京都港区にある愛宕神社では猿田彦神を天狗として祭神としています。

「愛宕権現」が由来となったもの

安元の大火は太郎焼亡とも呼ばれています。これは愛宕権現に由来しており、その理由として、安元の大火は愛宕権現が個下と言われているからであります。
また浄瑠璃や文楽などで誓いの言葉として使われる「愛宕白山」は愛宕権現・白山権現の両者を由来としています。

注釈

*1 ここで言う地雷は現代の地雷ではなく「地中の雷」の意。
*2 技術者・科学者出身の、また高度の専門的知識をもった行政官・高級官僚のこと。技術官僚ともいう。

■この神様に関連する主な神話

【挿絵解説】
修験道や神道など色々な信仰の混在が見えればと山伏装束にアレンジを加えました。
背景は愛宕山と大天狗の眷属達、炎は太郎焼亡。畏怖のイメージです。
【参考資料】
(文章参考)レファレンス協同データーベース、日本書紀、愛宕神社ホームページ
(挿絵参考)