橋姫

はしひめ

橋姫

橋姫の別名

  • 特になし

橋姫の御神徳

橋姫の伝承地

  • 京都府宇治市

橋姫の継続

  • 特になし

橋姫の鎮座

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橋姫の解説

はしひめ

橋姫 橋姫

丑の刻詣りの元になったというイメージが強い「橋姫」。嫉妬深く、縁切りの願いも聞いてくれると言われますが、半面、伊勢の内宮を守護する神聖な力を持つ神でもあります。

縁切りで有名な「橋姫神社」

京都府宇治市の「橋姫神社」の御祭神は、
川神・祓神である瀬織津姫(せおりつひめ)だが、
橋姫と混同(同一視?)されているようだ。

宇治の橋姫は非常に嫉妬深い神様とされており、

嫁入りする時には橋姫神社の前を通らない、
縁を結ぶには橋の下を舟で通り、橋を渡ると離縁する、
といった古い記録も存在するようだ。

現在も縁切りの願いを叶えてくれる神社として有名だ。

「橋姫」の名前は、平家物語・太平記・源氏物語などの
現在も広く読み伝えられている書物の中にも登場する。

橋姫が嫉妬深い・縁切りの神であるという由縁は
次に紹介する文献「平家物語・剣巻」からと思われる。

丑の刻参りの元になった橋姫

「平家物語・剣巻」では、こう記されている。

公卿の娘が貴船神社に参拝し、
妬ましい女を殺すためにお鬼に変えてくれるように祈った。

貴船の神はそれに答え、指示した。

娘は、長い髪を五つに分けそれを角にし、
顔には紅を、体には丹を塗った。

鉄輪を逆にして頭にのせて、
三つの脚に松明を燃やし、
口にも松明を加えて火をつけた。

夜更けに大和大路に走り出た女の姿は、
さながら鬼のようであった。

こうして神のお告げ通りに三十七日間、
宇治川に入った。

これが宇治の橋姫である、と
「平家物語・剣巻」では語られている。

橋姫は、妬ましいと思う女とその関係者を次々に殺していった。

宮中では、夜は危険ということで、
誰も外出をしなくなった。

その頃、源頼光の四天王の1人源綱がある夜、
一条堀川の戻橋で美しい女性に化けた鬼に襲われ、
名刀「髭切」で鬼の腕を切り落とした。

鬼の腕は、安倍晴明により封印された。

この物語は、丑の刻参りの原型のひとつとされており、
能の演目「鉄輪(かなわ)」の話の元にもなっている。

源氏物語・宇治十帖での「橋姫」

色々な物語に登場する橋姫だが、源氏物語にも名前が見える。

源氏物語第45帖が「橋姫」というタイトルだ。
これは宇治を舞台にした「宇治十帖」(「橋姫」から「夢浮橋」までの十帖)の始まりの物語である。

世の中から忘れられ没落しかかった「八の宮」は二人の娘と共に宇治に住居を移す。

二人の姫君(大君・中君)を男手ひとつで育てながらも、
出家を望みながら慎ましやかに生活していた。

宇治山の阿闍梨からその聖俗ぶりを聴き興味を持った薫は、
「八の宮」の元に通うようになる。

ある時、二人の姫君の可愛らしい様を偶然見る機会があり、
姫君と歌を交わした。

薫が詠んだ歌が
「橋姫の心を汲みて高瀬さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる」
である。

古今集六八九に
「さ筵に衣片敷き今宵もや 我を待つらむ宇治の橋姫」
という歌があり、

当時、橋姫には「恋人を待ついじらしい女性」というイメージがあり、
宇治に住む女性のことを「宇治の橋姫」になぞらえることがあったようだ。

薫もそれに倣って、姫君たちを「宇治の橋姫」と表現している。

「宇治の橋姫」の名前が見られる伝承を見てみると

某中将に、二人の妻がおり、そのうちの一人が「宇治の橋姫」という名前だった。お産が近付き、五ひろのわかめを欲しがったので伊勢の海辺に取りに行った。
その時に中将は龍王に魅入られて、そのまま帰って来なかった。
橋姫は赤子を抱いて伊勢に尋ねてゆき、もう一人の妻もまた来た。(「鎌倉室町時代文学史」)

宇治の近くに住む夫婦があり、夫が竜宮に宝を取りに行って帰らなかった。
妻は悲しんで橋の辺で死に、橋守明神となった。(「為家抄」)

とあり、丑の刻詣りにちなんだ伝承とはまた違うイメージを持つ。

内宮を守る「饗土橋姫神社」

「饗土(あえど)橋姫神社」は、内宮へと続く宇治橋と対面する位置にある。
饗土とは、内宮の宮域四方の境に悪しきものが入ってこないよう、防ぎお祀りする場所のこと。
新しい宇治橋が架けられる「宇治橋渡始式」では、こちらで祭典が執り行われる。

式年遷宮で、最も早く建て替えられる神社だということ。
御祭神は、宇治橋鎮守神(うじばしのまもりのかみ)。

宇治橋から駐車場を挟んで対面する場所にあるので、
お社があることを気付かれないことも多いが、非常に神聖な場所である。

こちらも、恨みや嫉みとは無縁の、どちらかというと清浄な守り神の印象である。

なぜ橋の神様が鬼女なのか

「橋姫」は橋の守護神である。

橋というのは土地と土地をつなぐ大切な要所であり、
伊勢の宇治橋のケースでは、俗世と神域をつなぐものである。

そこを守る神とが強いもの、恐ろしいものであるほど、
悪しきものを寄せ付けないという考え方もできる。

ただ、橋を守る神というのは古くから各地にいたはずで、
宇治の橋姫神社の御祭神も、瀬織津姫であることから
元々は川の神・祓いの神が守っていたのではないか。

そこに民間伝承が混じり合い、
橋姫に「嫉妬深い女性が鬼になった」というイメージが加わったのではないかと考えられる。

文章担当森田明子

参考資料

  • 平家物語
  • 太平記
  • 源氏物語
  • 「一つ目小僧その他」柳田国男

挿絵担当しわ

参考資料

  • 平家物語

挿絵解説

嫉妬に狂う女の顔は、燃え盛る悲しみと憎悪で鬼さながらの恐ろしさへと変わります。

橋姫に関連する神様

はしひめ

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