意富加牟豆美命

おほかむづみのみこと

意富加牟豆美命の解説

おほかむづみのみこと

意富加牟豆美命 意富加牟豆美命

伊邪那岐命が黄泉の国の軍勢を桃を使って撃退し、その桃の実に「意富加牟豆美命(おほかむづみのみこと)」という名前を授けました。古代中国で不老長寿を与える果物として重宝されていた桃は、今でも「桃の節句」や「桃太郎」のお話として伝えられています。

桃の実が神様になった

古事記によると、

伊邪那岐命と伊邪那美命は多くの神様を生み出しました。
しかし、火の神・加具土命を産んだ時に、
伊邪那美命は女陰を焼かれて死んでしまいました。

愛しい伊邪那美命に会いたい一心で、
伊邪那岐命は黄泉の国へ訪ねていきました。

伊邪那美命は最初は喜んで出迎えてくれましたが、
もう黄泉の国の住人になってしまっていました。

朽ち果てた伊邪那美命の醜い姿を見てしまった伊邪那岐命は
一転して、伊邪那美命に追われることとなります。

あの手この手の攻撃を受け、それでも黄泉の国と現世の境にある「黄泉平坂(よもつひらさか)」まで逃げてくることができました。

生えていた桃の木の実を三つ取って投げると、追ってきていた軍勢は皆、黄泉の国へ戻って行きました。

そこで伊邪那岐は、桃の実に大変感謝して、
「お前は私を助けたように、人々が苦しい目にあって困っている時に助けなさい」と言い、

意富加牟豆美命(おほかむづみのみこと)という名前を、桃の実につけました。

神聖視された桃

桃は、古来より神聖視・特別視された果物でした。

中国では「桃源郷」の桃は不老長寿の特別な食べ物と伝えられていました。

「桃の節句」も元々は中国から来ており、
川で災厄を水に流す行事でした。

中国では桃の節句の習慣は途絶えていますが、
日本で形を変えて根付いています。

昔から、桃の花や実の色が明るいこと美しいので、吉祥のしるしとして扱われたり、
実の形が女陰と似ていることから、女性の結婚・多産と結びつけられることもあったようです。

現代では桃の品種は何千とありますが、
古代の桃は今の様な甘い桃ではなく、もっと固いものでした。

薬効が非常に多岐に渡り、食べる事で心身の健康に役立っていたのではないでしょうか。

桃太郎

「桃」というと「桃太郎」という誰もが知っている昔話があります。

江戸時代に書かれた「桃太郎」のお話は、
川から流れてきた桃をおじいさんとおばあさんが食べたところ、
若返り、そして桃太郎が生まれた、というものでした。

また、伊邪那岐命が、黄泉の国の軍勢に桃を投げつけて撃退したように、
桃太郎は鬼退治に行きます。

中国で不老長寿の食べ物と言われていたことや、
災厄を祓う桃の力が、盛り込まれた物語です。

文章担当森田明子

参考資料

  • 古事記・日本書紀

挿絵担当ごろう

参考資料

挿絵解説

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